こんにちは。
登録販売者講師の仲宗根です。
先日、現場の登録販売者さんから、ベビーパウダーを買い求めるお客様が増えたという情報が寄せられました。
詳しくお伺いすると、「マスクの内側にベビーパウダーをつけると、お化粧がマスクに付きにくくなるという情報をテレビで見たので買いに来た」ということだったそうです。
実は、そのテレビ番組を私も見ていたのですが、やはりテレビの影響は大きいのですね。
ネット検索してみると、ほかにもベビーパウダーを使ったメイクの裏技的なテクニックを紹介する動画がたくさんありました。
コスメにも「フェイスパウダー」と呼ばれる、いわゆる「お粉」がありますが、ベビーパウダーは価格も安いので、値段を気にせず使いやすいということで、若い層には人気があるのかもしれません。
ベビーパウダーの安全性
ベビーパウダーの主成分は、タルクという鉱物(滑石)の粉です。また、コーンスターチを配合しているベビーパウダーもあります。ファンデーションにもタルクを配合しているものがありますね。ファンデーションによって、「タルク不使用」などと明記していることもあります。
以前、滑石へのアスベストの混入が問題になって、製品が回収されたこともありましたし、アメリカでは卵巣がんとの関連が疑われています(結論は出ていないようですが)。そんな事情もあって、何かと悪者扱いされることもあります。
アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンは、2020年5月19日(現地時間)、米国とカナダにおけるタルクを主原料にするベビーパウダーの販売について、在庫がなくなり次第、販売を停止すると発表していますが、日本では販売が継続されることになりました。
東京都環境局サイトの「アスベストQ&A」(18年2月9日更新)には、「ベビーパウダーにアスベストが使用されていると聞いたが、大丈夫ですか?」という項目があるのですが、回答は下記のように記載されています。
1987年11月に、厚生省が「ベビーパウダーの品質確保」という通達において、ベビーパウダーへのアスベスト混入を禁止したため、その後の製品には、アスベストは使われていません。
ただ、粒子がとても細かいので、体につける時には、舞い上がった粉を吸い込まないよう、販売メーカーも注意を促しています。
ベビーパウダーを販売するメーカーの商品ページを見てみると、上半身につける際には固形タイプのベビーパウダーを使用するよう推奨しているメーカーもあったり、万一赤ちゃんが粉を吸い込んでしまった場合には「中毒110番」に連絡するよう書いているメーカーもありました。
とにかく、パウダーの粒子を吸い込むことには注意が必要だということが分かりますね。
マスクの内側につけるのはアリなのか?
やはりベビーパウダーの粉をマスクの内側につけるという行為は、あまりお勧めできないなと個人的には思います。
特に今は、新型コロナウイルスの感染予防で、毎日長時間マスクをつける人も多いと思いますし、暑い夏の時期は汗で蒸れやすく、かぶれやすくなることもあります。
タルク自体には吸水性はありませんが、ベビーパウダーを肌につけた時に、その粒子によって表面積が増えて、余分な水分を吸い上げる毛細管現象が起きます。
ですから、水分が不足しがちな乾燥肌の人は、ベビーパウダーをつけることで乾燥がひどくなることも。
マスクの長時間の使用でも、お肌は乾燥しやすくなりますから、「マスクの内側にファンデーションがつかない」こと以上に、デメリットの方が大きいかもしれません。
サラサラ感が気持ちよく感じることもあると思いますが、マスクの内側にパウダーをつけるという使い方は避けた方がいいというのが私の結論です。
とにもかくにも、粒子を吸い込んで健康を害することのないよう、ご注意ください。